TIBCが高い原因と対処法とは?血液検査の関連項目も解説|医療法人良樹会T内科クリニック堺院|堺市北区新金岡町の内科・訪問診療

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医療コラム

TIBCが高い原因と対処法とは?血液検査の関連項目も解説|医療法人良樹会T内科クリニック堺院|堺市北区新金岡町の内科・訪問診療

TIBCが高い原因と対処法とは?血液検査の関連項目も解説

血液検査の結果でTIBC値が高いと表示され、その意味や原因、そして今後の対処法について不安を抱えている方も少なくないでしょう。
この数値が高い状態が何を意味するのか、詳しく見ていきましょう。

 

TIBCが高い状態

 

TIBCとは鉄と結合するタンパク質の総量を示す指標です。

TIBCはTotalIronBindingCapacityの略で、体内に存在する鉄と結合できるタンパク質の総量を表します。
このタンパク質はトランスフェリンと呼ばれ、鉄を体内に運搬する役割を担っています。
さらに、血液中のトランスフェリンの量が多いほどTIBC値は高くなります。
そのため、この値は鉄の供給状態を評価する上で重要な指標といえます。

 

基準値より高いと鉄欠乏状態の可能性があります。

一般的にTIBC値が高い場合は体内の鉄分が不足している可能性を示唆しています。
鉄はヘモグロビンの主要な成分であり、酸素を運搬する役割を担っています。
また、鉄分不足はヘモグロビン合成の低下につながり、貧血を引き起こす可能性があります。
そのためTIBC値が高い結果が出た場合、鉄欠乏性貧血の可能性を検討する必要があるのです。

 

鉄欠乏性貧血の診断に役立つ指標です。

TIBC値は単独で鉄欠乏性貧血を診断するものではありません。
しかし、他の血液検査結果と組み合わせることで診断の精度を高めることができます。
例えば、ヘモグロビン値が低い、フェリチン値が低いといった結果と併せてTIBC値が高い場合は、鉄欠乏性貧血の可能性が非常に高まります。
加えて、医師の診察を受けることで、より正確な診断が可能となります。

 

TIBCが高い原因は何?

 

鉄欠乏性貧血が挙げられます。

最も一般的な原因は鉄欠乏性貧血です。
これは食事からの鉄分摂取が不足したり、慢性的な出血などで鉄分が失われたりすることで起こります。
例えば、月経のある女性や消化器系の疾患を持つ人では鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。
また、偏った食生活を送っている人も鉄分不足に陥りやすいので注意が必要です。

 

妊娠もTIBC値上昇の原因となります。

妊娠中は胎児の成長に必要な鉄分が母体から供給されるため、母体の鉄分需要が大幅に増加します。
その結果、体内の鉄分が不足しTIBC値が上昇することがあります。
さらに、妊娠中は血液量が増加するため、相対的に鉄分濃度が低下することもTIBC値上昇の一因となります。

 

ピル服用も原因の一つです。

経口避妊薬(ピル)の中には鉄分の吸収を阻害する成分が含まれているものがあります。
そのため、ピルを服用している女性ではTIBC値が上昇することがあります。
一方で、全てのピルが鉄分の吸収を阻害するわけではなく、ピルの種類によっては影響が少ない場合もあります。

 

TIBCが高いとどうなる?

 

貧血の症状(倦怠感、動悸、息切れなど)が現れます。

鉄欠乏性貧血になると酸素供給不足により倦怠感、動悸、息切れなどの症状が現れます。
症状の程度は鉄分不足の程度によって異なり、軽度の場合には自覚症状がないこともあります。
しかし、重症になると日常生活に支障をきたすこともあります。
そのため、早期発見と適切な治療が重要となります。

 

鉄欠乏に関連する症状(爪が割れやすい、口角炎など)も現れる可能性があります。

鉄分不足は爪の変形や割れやすさ、口角炎、舌炎などの症状を引き起こす可能性があります。
これらの症状は貧血以外の鉄欠乏に関連する症状です。
また、鉄分不足の早期発見のサインとなる可能性があります。
そのため、これらの症状が現れた場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

 

TIBCが高い場合の血液検査の他の項目との関連性

 

フェリチン値との関係性:フェリチンは体内に貯蔵されている鉄の量を示す指標です。

TIBC値が高い場合、フェリチン値は低い傾向があります。
これは体内の鉄が不足していることを示しています。
一方で、炎症などがあるとフェリチン値が上昇することがあるので、総合的に判断する必要があります。

 

血清鉄値との関係性:血清鉄は血液中に存在する鉄の量を示す指標です。

TIBC値が高い場合、血清鉄値は低い傾向があります。
これは鉄と結合できるタンパク質は多いものの、結合する鉄が少ないことを示しています。
つまり、鉄の運搬能力は高いのに、運ぶべき鉄が少ない状態といえます。

 

UIBCとの関係性:UIBC(UnsaturatedIronBindingCapacity)は鉄と結合していないトランスフェリンの量を示す指標です。

TIBC値とUIBC値の合計はほぼ一定であるため、TIBC値が高い場合はUIBC値が低い傾向があります。
言い換えれば、鉄と結合できる部分が少なく、ほとんどのトランスフェリンが鉄と結合している状態です。

 

ヘモグロビン値との関係性:ヘモグロビンは赤血球中に含まれるタンパク質で、酸素を運搬する役割を担います。

TIBC値が高い場合、ヘモグロビン値が低い傾向があり、貧血を示唆します。
これは、鉄不足によりヘモグロビンの合成が阻害されているためと考えられます。

 

TIBCが高い場合の対処法

 

鉄剤内服による鉄補充療法が有効な手段です。

TIBC値が高い場合は鉄剤の内服による鉄補充療法が最も有効な手段です。
医師の指示に従って適切な量の鉄剤を服用することで体内の鉄分を補給することができます。
また、鉄剤には副作用が生じる場合もあるので、医師との相談が欠かせません。

 

食事からの鉄分摂取も重要です。

鉄分を多く含む食品(レバー、赤身肉、ほうれん草など)を積極的に摂取することで体内の鉄分量を増やすことができます。
しかし、食事からの鉄分摂取だけでは十分な鉄分を補給できない場合もあります。
そのため、鉄剤と併用することが推奨される場合もあります。

 

原因疾患の治療も必要です。

TIBC値が高い原因となる疾患(鉄欠乏性貧血など)が特定された場合は、その疾患に対する適切な治療を行う必要があります。
例えば、消化器系の出血が原因の場合は出血の原因を特定し、その治療を行うことが重要です。
さらに、自己判断で治療を行うのではなく、医師の指導のもと適切な治療を受けることが大切です。

 

まとめ

血液検査の結果に不安を感じた場合は、必ず医師に相談し、適切な検査と治療を受けてください。 自己判断で治療を進めることは避け、専門家の意見を聞きながら対処することが大切です。