血液検査でリンパ球が少ない場合は?原因と対処法を医師が解説
- 2025年10月9日
- お知らせ
血液検査の結果、リンパ球数が少ないと示された場合、不安を感じるのは当然のことといえます。
リンパ球は免疫細胞の重要な一部であり、その減少は健康状態に影響を与える可能性があるのです。
そこで、リンパ球減少の原因、具体的な病気の種類、そして対処法について説明します。
リンパ球が少ない原因
感染症やストレスが原因となるリンパ球減少
風邪などの感染症や、持続的なストレスはリンパ球の数を減少させる可能性があります。
感染症の場合、体内の免疫システムが活発に働き、リンパ球が消費されるためです。
一方、ストレスは免疫システムのバランスを崩し、リンパ球の産生や機能に悪影響を及ぼすことが知られています。
また、これらの要因によるリンパ球減少は、多くの場合、一時的なものであり、原因を取り除くことで回復します。
さらに、症状が長期にわたる場合は、医療機関への受診が推奨されます。
回復しない場合の長期化は危険な状態につながる恐れもあるのです。
薬の副作用でリンパ球が減少するケース
一部の薬剤、特に免疫抑制剤や抗がん剤などは、リンパ球の数を減少させる副作用を持つ場合があります。
これらの薬剤は、免疫システムを抑制したり、急速に細胞分裂する癌細胞を攻撃したりする働きをするため、リンパ球にも影響を与えるのです。
さらに、薬剤によるリンパ球減少は、薬剤の種類や投与量、患者の体質などによって程度が異なります。
そのため、薬剤服用中は定期的な血液検査を行い、リンパ球数の変化をモニタリングすることが重要といえます。
重篤な病気が原因でリンパ球が減少するケース
リンパ球の減少は、重篤な病気のサインである可能性もあります。
例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)や白血病、リンパ腫などの血液疾患、自己免疫疾患などは、リンパ球の数を著しく減少させる原因となります。
これらの病気では、リンパ球の産生が低下したり、リンパ球自体が破壊されたりするのです。
また、早期発見と治療が重要となるため、リンパ球減少が認められた場合は、速やかに専門医の診察を受けるべきです。
専門医の迅速な診察は、より深刻な事態を避けるために不可欠なのです。
血液検査でリンパ球の減少度合いを確認
血液検査では、リンパ球の絶対数だけでなく、リンパ球のサブセット(T細胞、B細胞、NK細胞など)の比率も確認できます。
これにより、リンパ球減少の原因をより詳細に特定し、適切な治療方針を立てることができるのです。
また、医師は血液検査の結果だけでなく、患者の症状や病歴、その他の検査結果なども総合的に判断して診断を行います。
そして、
リンパ球減少症とは
リンパ球が少ない状態の総称
リンパ球減少症とは、血液中のリンパ球数が正常値を下回っている状態を指します。
リンパ球の減少は、様々な原因によって引き起こされるため、単一の病気というよりは、症状を表現する言葉なのです。
そのため、その原因を特定し、適切な治療を行うためには、詳細な検査が必要です。
検査によって正確な原因を特定することは、適切な治療方針を決定する上で不可欠といえます。
免疫機能の低下に繋がる病気
リンパ球は、体内の免疫システムにおいて重要な役割を果たしています。
そのため、リンパ球減少症は免疫機能の低下に繋がり、感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなったりするリスクを高めます。
また、リンパ球の減少が著しい場合、日和見感染症などの発症にも繋がるのです。
日和見感染症は、健康な人では発症しないような感染症であり、生命に関わる危険性も高まります。
様々な病気が原因で発症
リンパ球減少症は、感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍、薬剤副作用など、様々な病気が原因となって発症します。
また、先天的にリンパ球の数が少ない先天性免疫不全症候群なども存在します。
そのため、リンパ球減少症と診断された場合は、原因となる病気を特定するために、詳細な検査と診察が不可欠といえます。
原因を特定することで、適切な治療法を選択し、病気の進行を抑制することが可能となるのです。
リンパ球減少症の具体的な病気の種類
先天性免疫不全症候群
先天性免疫不全症候群は、生まれつき免疫機能が低下している病気の総称です。
その中には、リンパ球の数が少ない、もしくは機能が低下しているものが含まれます。
また、この病気は、早期発見と適切な管理が生涯にわたる健康維持に重要です。
そのため、新生児スクリーニングなどで早期発見に努め、適切な医療介入を行うことが重要といえます。
後天性免疫不全症候群(AIDS)
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、HIVウイルスによって引き起こされる病気です。
HIVウイルスは免疫細胞であるCD4陽性T細胞を破壊することで、リンパ球数を減少させます。
さらに、AIDSは、適切な治療を受けなければ、命に関わる重篤な病気へと進行します。
そのため、早期発見と継続的な治療が不可欠なのです。
自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、自分の体の組織を異物と認識して攻撃してしまう病気です。
自己免疫疾患の中には、リンパ球の数が減少するものが含まれます。
例えば、代表的な例としては、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどが挙げられます。
これらの病気は、慢性的な炎症を引き起こし、様々な臓器に影響を及ぼす可能性があります。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ球が癌化した病気です。
悪性リンパ腫では、リンパ球が異常増殖し、正常なリンパ球の数を減少させる可能性があります。
また、悪性リンパ腫は、早期発見と適切な治療によって治癒が期待できる場合もあります。
そのため、リンパ節の腫れや発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
リンパ球が減少している場合の受診科
まずは内科を受診
リンパ球数が少ないと血液検査で判明した場合、まずはかかりつけの内科を受診しましょう。
内科医は、患者の症状や病歴を聴取し、必要な検査を指示します。
そして、その結果に基づいて適切な専門科への紹介状を作成します。
血液内科を紹介されるケース
内科医は、検査結果や症状に基づいて、血液内科への紹介を検討します。
血液内科は、血液疾患の専門医が在籍しており、リンパ球減少の原因究明や治療に精通しているためです。
血液内科では、より専門的な検査や治療を受けることができます。
症状によっては他の専門科を紹介されることも
リンパ球減少が他の疾患と関連している場合、内科医は、感染症科、アレルギー科、消化器科、あるいは他の専門科への紹介を行う可能性があります。
これは、原因となる病気を特定し、適切な治療を行うために必要なのです。
それぞれの専門医は、特定の疾患に関する深い知識と経験を有しており、より的確な診断と治療を提供できます。
血液検査でリンパ球が少ないとわかった時の対処法
医師に相談
血液検査の結果でリンパ球数が少ないとわかった場合は、まず医師に相談することが重要です。
自己判断で治療を開始したり、市販薬を服用したりするのは危険だからです。
医師は、原因を特定し、適切な治療方針を提案します。
適切な医療介入を受けることで、病状の悪化を防ぎ、健康を回復できる可能性が高まります。
自己判断で市販薬を服用しない
リンパ球減少の原因によっては、市販薬の服用が危険な場合もあります。
自己判断で薬を服用するのではなく、必ず医師の指示に従ってください。
医師の指示に従うことで、予期せぬ副作用や合併症のリスクを最小限に抑えることができます。
生活習慣の改善を心がける
バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動などは、免疫力の維持に役立ちます。
リンパ球減少が認められた場合は、生活習慣の改善を心がけることで、免疫機能の向上に繋がる可能性があるのです。
健康的な生活習慣は、免疫システムの正常な機能をサポートし、病気への抵抗力を高めるために重要です。
まとめ
血液検査でリンパ球数が少ないと診断された場合、その原因は感染症、ストレス、薬剤副作用、あるいはより深刻な病気の可能性があります。
リンパ球減少症は、免疫機能の低下に繋がり、様々な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要なのです。
まずは内科を受診し、医師の指示に従って検査や治療を進めることが大切です。