血小板とは?役割・生成・寿命から病気まで徹底解説|医療法人良樹会T内科クリニック堺院|堺市北区新金岡町の内科・訪問診療

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医療コラム

血小板とは?役割・生成・寿命から病気まで徹底解説|医療法人良樹会T内科クリニック堺院|堺市北区新金岡町の内科・訪問診療

血小板とは?役割・生成・寿命から病気まで徹底解説

私たちの身体は、日々小さな傷や出血を負っています。
しかし、たいていの場合、それらはすぐに治まり、私たちは日常生活を送ることができます。
このスムーズな治癒を支えているのが、血液の中に存在する小さな細胞「血小板」なのです。
今回は、血小板の役割、その生成と寿命、そして血小板数の減少によって起こる病気について解説します。

 

血小板の役割

 

出血を止める

血小板の最も重要な役割は、出血を止めることです。
血管が損傷を受けると、血小板は素早くその部位に集まり、互いにくっつき合って血小板栓という栓を作り、出血を一時的に食い止めます。
さらに、この過程は血液凝固の最初の段階であり、血液が固まるための足場となる役割を果たします。
また、血小板は様々な凝固因子を放出し、血液凝固カスケードと呼ばれる複雑な反応を活性化させることで、安定した止血を促します。
このように血小板は、迅速かつ効果的な止血を実現するために、多様な機能を発揮しているといえます。

 

血管損傷を修復する

血小板は、出血を止めるだけでなく、損傷を受けた血管の修復にも関与しています。
血小板が放出する様々な成長因子が、血管内皮細胞の増殖や遊走を促進し、血管の修復を早めるのです。
例えば、PDGF(血小板由来成長因子)やTGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)などが、血管内皮細胞の増殖や遊走を促進する作用を持ちます。
この修復プロセスは、傷の治癒に不可欠な役割を果たしており、血小板の機能が損なわれると、傷の治癒が遅延する可能性があります。

 

炎症反応に関与する

血小板は、炎症反応にも関与しています。
血管損傷部位では、炎症反応が起こり、損傷部位の修復や病原体の排除が行われます。
血小板は、炎症性物質を放出することで、この炎症反応を調節しています。
一方で、過剰な炎症反応は組織へのダメージを招くため、血小板の役割は適切な炎症反応の維持に貢献すると言えます。
さらに、血小板は免疫細胞との相互作用を通じて、炎症反応の制御にも関わっています。

 

血小板とは何か?

 

血液中の小さな細胞

血小板は、骨髄にある巨核球という細胞から作られる、直径約2~4マイクロメートルほどの無核細胞です。
血液1マイクロリットルあたり15万~40万個存在し、血液凝固や止血において重要な役割を担っています。
その形状は円盤状で、必要に応じて偽足と呼ばれる突起を伸ばすことで、他の血小板や血管壁に付着することができます。
この柔軟な形状変化は、血小板が効率的に止血を行う上で重要な役割を果たしているのです。

 

出血を止める役割

血管が傷つくと、血小板は損傷部位に集まり、血小板栓と呼ばれる塊を作り、出血を止める第一段階を担います。
これは、血小板同士が互いに接着する機能と、血管壁に付着する機能によって可能になります。
また、血小板は、血管収縮物質を放出して血管を収縮させ、出血量を減少させる役割も担っています。
この血小板栓の形成は、血液凝固カスケードと呼ばれる複雑な反応系を活性化し、最終的に血液凝固を促します。

 

血栓を作る

血小板は、血液凝固において重要な役割を果たしますが、その機能が過剰に働くと、血栓という固まった血液塊が血管内で形成されることがあります。
これは、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの深刻な疾患を引き起こす可能性があります。
血栓の形成は、血小板の活性化や凝集が過剰に起こることで引き起こされるため、血小板の機能を適切に制御することが重要なのです。
例えば、アスピリンなどの抗血小板薬は、血小板の凝集を抑えることで血栓の形成を予防する効果があります。

 

血液凝固に不可欠

血液凝固は、血液中のタンパク質や血小板が複雑に相互作用することで起こる一連の反応です。
血小板は、この過程において、フィブリノゲンというタンパク質の繊維化を促進する役割を果たしています。
この繊維状のフィブリンが、血小板栓と共に血液凝固の最終産物を形成し、出血を止めることに貢献します。
さらに、血小板は、凝固因子を活性化させることで、凝固カスケードを促進し、より強固な血液凝固を促す役割も担っているのです。

 

血小板の生成と寿命は?

 

骨髄で作られる

血小板は、骨髄にある巨核球という細胞から作られます。
巨核球は、非常に大きな細胞で、その細胞質が分裂して多数の血小板を生成します。
この生成過程は、様々な成長因子やサイトカインの制御を受けており、身体の需要に応じて調整されています。
例えば、トロンボポエチンというホルモンは、巨核球の増殖と分化を促進し、血小板産生を増加させる作用を持ちます。

 

寿命は約7~10日

血小板の寿命は約7~10日と比較的短く、その後は脾臓で破壊されます。
脾臓は、血液中の老化した細胞や異物を除去する役割を持つ臓器です。
老化した血小板は、脾臓でマクロファージと呼ばれる細胞によって貪食され、分解されます。
そのため、脾臓の機能が低下すると、血小板の寿命が延び、血小板数が増加する可能性があります。

 

脾臓で破壊される

脾臓は、血液を濾過する臓器として、老化した血小板や赤血球、白血球などを除去する役割を担っています。
脾臓の機能が低下すると、老化した血小板が血液中に残り続けるため、血小板数が上昇することがあります。
逆に、脾臓が過剰に機能すると、血小板が過剰に破壊されるため、血小板減少症を引き起こす可能性があります。
また、脾臓摘出手術を受けた患者では、血小板数が一時的に増加することが知られています。

 

血小板減少症とは?

 

血小板数が少ない状態

血小板減少症とは、血液中の血小板数が正常範囲を下回った状態を指します。
通常、血液1マイクロリットルあたりの血小板数は15万~40万個ですが、この数値が減少すると、出血しやすくなります。
軽症の場合、自覚症状がないこともありますが、重症になると、皮膚や粘膜からの出血、消化管出血などが起こる場合があります。
さらに、血小板数が極端に減少すると、生命に関わるような大出血を起こす危険性も高まります。

 

出血しやすくなる

血小板減少症では、血小板の数が少ないため、傷ついた血管からの出血が止まりにくくなります。
小さな傷でも出血が長く止まらなかったり、鼻血や歯肉出血が頻発したりすることがあります。
また、内臓からの出血も起こりやすく、消化管出血や脳出血などの危険性も高まります。
そのため、血小板減少症の患者は、怪我や出血に十分注意する必要があります。

 

様々な原因で起こる

血小板減少症の原因は様々で、骨髄の機能不全、自己免疫疾患、薬剤による副作用、感染症などが挙げられます。
骨髄機能の低下によって血小板の産生が減少したり、自己免疫反応によって血小板が破壊されたりすることが、主な原因として考えられています。
また、特定の薬剤の使用や、ウイルス感染などによっても血小板減少症が起こることがあります。
そのため、原因を特定するために、詳細な検査が必要となる場合もあります。

 

血小板の病気と治療法は?

 

血小板減少症

血小板減少症は、前述の通り様々な原因で起こる疾患です。
症状は血小板数の減少度合いに依存し、軽症の場合、自覚症状がないこともありますが、重症化すると生命を脅かす可能性があります。
治療は、原因に応じた対処療法が中心となります。
例えば、自己免疫疾患が原因の場合は、免疫抑制剤を用いた治療が行われます。

 

血小板機能異常症

血小板機能異常症とは、血小板の機能が正常に働かない疾患です。
血小板の数が正常であっても、凝集能や接着能が低下することで、出血しやすくなります。
遺伝性のものと後天性のものがあり、治療は原因や症状に応じて行われます。
例えば、アスピリンなどの薬剤が原因の場合は、薬剤の中止が検討されます。
また、遺伝性の血小板機能異常症の場合には、根本的な治療法は確立されていませんが、出血症状に対する対症療法が行われます。

 

原因に応じた治療が行われる

血小板減少症や血小板機能異常症の治療は、原因に応じた治療が行われます。
例えば、自己免疫疾患が原因の場合は免疫抑制剤が使用され、薬剤が原因の場合は薬剤の変更や中止が検討されます。
また、重症の場合には、輸血による血小板補充療法が行われることもあります。
さらに、原因不明の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫グロブリン製剤などが用いられることがあります。

 

まとめ

今回は、血小板の役割、生成と寿命、そして血小板減少症について解説しました。
血小板は、出血を止める、血管損傷を修復する、炎症反応に関与するなど、重要な役割を担っており、その機能不全は様々な疾患を引き起こす可能性があります。
血小板減少症は、出血しやすくなるため、早期発見と適切な治療が重要です。
血小板の働きを理解することで、自身の健康管理に役立てていただければ幸いです。
また、定期的な健康診断で血液検査を受けることで、血小板数の異常を早期に発見できる可能性が高まります。